- 2025年度 日本動物行動学会賞ならびに日本動物行動学会日高賞公募に関する公示
2025年 4月 15日
日本動物行動学会 会長 中田兼介日本動物行動学会賞は、現在の動物行動学分野における顕著な業績を、研究実施者のキャリアを問わず表彰することにより、動物行動学の一層の活性化を図ることを目的に設けられました。賞の対象は、研究者個人の全業績ではなく、1つの内容と見なせる良くまとまった3編までの論文からなる業績が対象です。対象業績は、原則過去5年以内に学術誌などに公表されたものとしますが、出産、育児、介護、病気休職、研究職ではない職への従事などの理由により、研究中断期間があった場合は原則の例外として取り扱うことがあります。この扱いを希望される場合、推薦理由書の中で理由を添えて説明してください(例外とするかどうかは審査委員会の判断に委ねられます)。
対象区分は、(1)動物の行動に関する新たな現象の発見、(2)動物の行動に関する新たな理論の構築あるいは既存の理論の発展、(3)動物の行動を研究する新たな方法の開発あるいは既存の方法の改良、の3区分です。なお、区分(1)には、比較法(種間比較)でデータ解析をして結論を導いた業績も含まれます。日本動物行動学会日高賞は、動物行動学の普及など社会との橋渡しにおける顕著な業績を表彰するものです。業績は、選考の時点で過去10年程度以内に学術誌や一般書、その他マス・メディアなどを通じて公表されたものなどを重視します。日高賞は、本学会の初代会長でもある故日高敏隆氏が動物行動学の発展に果たした役割を記念して名付けられました。
両賞についての日本動物行動学会学会賞細則(2023年10月31日改訂)および過去の受賞者については、当学会のウェブサイトをご覧ください。つきましては、2025年度の日本動物行動学会賞ならびに日本動物行動学会日高賞の候補者推薦を以下のように受け付けます。日本動物行動学会員のみなさまに積極的な推薦を呼びかけるものです。日本動物行動学会では、過去に受賞されなかった方の再応募も受け付けております。関連ある新規の論文の追加や、応募書類の改訂を行い、積極的な再応募をお願いします。なお、日本動物行動学会賞の推薦は自薦・他薦のいずれでもかまいませんが、日本動物行動学会日高賞の推薦は他薦に限ります。
推薦締め切り 2025年6月15日
受賞者決定 2025年8月下旬
授賞式 第44回日本動物行動学会大会にて 2025年11月22日(土)~24日(月)推薦に必要な書類は以下の通りです。
(1)推薦理由書(指定書式:日本動物行動学会賞 日本動物行動学会日高賞)
(2)自薦の場合は応募者、他薦の場合は被推薦者の履歴書(様式自由)
(3-1)日本動物行動学会賞:受賞対象となる業績(3編以内)の別刷など業績内容を確認できるもの。なお、業績の中に連名のものが含まれるときは、応募についてあらかじめ共著者の了解を得てください。
(3-2)日本動物行動学会日高賞:審査対象となる業績は必ずしも有形のものとは限りませんが、書籍等の有形のものが審査対象に含まれる場合には各1部提出してください。
(4)被推薦者が推薦されることを承諾していることを示す書類(他薦の場合のみ)
推薦に必要な書類を、電子メールあるいは郵送で日本動物行動学会事務局(下記)までご提出ください。郵送の場合は当日消印有効とします。推薦書類提出先:電子メール:office.of.jet(AT)gmail.com
〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138
大阪公立大学 大学院理学研究科 動物社会学研究室
日本動物行動学会事務局 安房田智司<参考 日本動物行動学会学会賞細則 抜粋(応募関連項目のみ)>
第2条
1. 日本動物行動学会賞は、以下の各項目のいずれかにおける顕著な業績に対して、日本 動物行動学会会員(以下、本学会員)に与える。業績は、選考の時点で原則として過去5年以内に学術誌などに公表されたものとするが、研究中断期間があり、理由を添えて申し出があった場合、業績対象期間の原則の例外として取り扱うことができる。
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見、(2)動物の行動に関する新たな理論の構築 あるいは既存の理論の発展、(3)動物の行動を研究する新たな方法の開発あるいは既存の方法の改良
2. 日本動物行動学会日高賞は、動物行動学の普及など社会との橋渡しにおける顕著な業績に対して、本学会員に与える。業績は、選考の時点で過去10年程度以内に学術誌や一般書、その他マス・メディアなどを通じて公表されたものなどを重視する。第3条
1. 日本動物行動学会賞の受賞者は、第2条第1項の各項目について、原則として毎年1名以内とする。
2. 日本動物行動学日高賞の受賞者は、原則として毎年1名以内とする。
第4条 学会賞ならびに日高賞の受賞候補者は、本学会員により推薦された者の中から、日本動物行動学会賞選考委員会(以下、選考委員会)が選考する。学会賞の推薦は自薦または他薦のいずれでもよい。日高賞の推薦は他薦に限る。推薦は定められた資料の提出をもってなされるものとし、推薦者は選考委員会の求めに応じて必要な資料を提出しなければならない。第5条 選考委員会は5名の選考委員で構成される。選考委員は、本学会員より運営委員会が指名し、任期は2年とし、再任を妨げない。選考委員会の委員長は委員の互選により選出する。
第6条 選考委員会は、被推薦者の中から受賞候補者を定め、選考理由を付して運営委員 会に報告する。受賞候補者がない場合も理由を付して運営委員会に報告する。受賞候補者の決定は選考委員の合議によるが、十分に議論したにも関わらず選考委員の意見が分かれた際には、選考委員の過半数の賛成により受賞候補者を決定する。
第7条 選考委員が被推薦者となった場合、あるいは応募業績の共著者となっていることが明らかとなった場合、選考委員から外れるものとする。また、選考委員は、学会賞ならびに日高賞について推薦を行うことができない。
第8条 受賞候補者は、運営委員会の承認により受賞者として決定される。
第9条 授賞式は、原則として本学会大会にて行われるものとする。
日本動物行動学会賞の性格と特徴
日本動物行動学会賞(以下、動物行動学会賞)は、2つの特徴を持っています。
1つは、よくまとまった1つの研究に与える賞であるという点です。ご存知のように,日本の学会賞の多くは、それまでの個人の研究業績全体を評価するものです。一方、動物行動学会賞はある一人の研究者の全業績を評価する賞ではありません。研究経験の長い研究者は、多数の異なるテーマについて業績をあげていることも多いでしょう。しかし、動物行動学会賞は、その中の1つのよくまったテーマに関するものだけを選考の対象とします。大胆不適な比較かもしれませんが、ノーベル賞と『同じような性格』と言えるかも知れません。
もう1つの特徴は、受賞対象となる研究をした会員の経験年数や年齢を限った賞ではないことです。最初に述べた特徴と過去5年以内の発表という制限から、若手の研究者でも、多くの論文を既に発表しているシニアの研究者と対等に競い合えるものになっています。この点を上田前会長(動物行動学会賞創設時の学会長)は、『若手とシニアが同じ土俵で競う』と表現しています。実際に若手の研究者の研究に与えられたこともあり、より経験を積んだ研究者の研究が受賞したこともあります。
2013年12月10日 日本動物行動学会会長
日本動物行動学会賞 受賞者(敬称略)
2024年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 工藤 慎一
ツノカメムシ科の生活史進化とメス親による子の保護に関する進化生態学的研究
(2)動物の行動に関する新たな理論の構築あるいは既存の理論の発展 黒川 瞬
嫌がらせ行動の進化と利他行動の進化の比較に関する理論研究
2023年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 矢代 敏久
シロアリにおける繁殖様式の多様化とその要因に関する研究
(2)動物の行動に関する新たな理論の構築あるいは既存の理論の発展 河端 雄毅
幾何学モデルによる動物の逃避方向の理論的説明
2022年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 松村 健太郎
コクヌストモドキの移動活性に対する人為選抜が繁殖形質に及ぼす影響を調べた研究
2021年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 西海 望
シマヘビに対するトノサマガエルの防衛戦術:逃避開始の意思決定における合理性の研究
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 竹下 文雄
ハクセンシオマネキのメスによる配偶者選択と関連する社会性の研究
(3)動物の行動を研究する新たな方法の開発あるいは既存の方法の改良 鈴木 俊貴
音声信号の「意味」を検証する新規実験パラダイム
2020年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 高田 守
昆虫の家族を用いた給餌を告げる親由来シグナルの実証
(2)動物の行動に関する新たな理論の構築あるいは既存の理論の発展 竹内 剛
チョウの配偶競争に関する理論的研究
(2)動物の行動に関する新たな理論の構築あるいは既存の理論の発展 水元 惟暁
配偶者探索における雌雄の動きのパターンと遭遇率の研究
2019年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 髙須賀 圭三
行動から見るクモ寄生バチによる造網行動操作の究極要因と至近要因
2018年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 堀田 崇
タンガニイカ湖産カワスズメ科魚類における社会的認知能力の検証
(2)動物の行動に関する新たな理論の構築あるいは既存の理論の発展 安井 行雄
雌の多回交尾の進化に関するbet-hedging理論の死と復活
2017年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 佐藤 成祥
ヒメイカの交尾後精子排除によるCryptic Female Choice
(3)動物の行動に関する新たな理論の構築あるいは既存の理論の発展 山口 幸
海洋生物の性表現に関する理論的研究
2016年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 松本 有記雄
小型魚類ロウソクギンポにおける雄の強制配偶と雌の対抗戦術
2015年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 植松 圭吾
昆虫社会における「おばあさん効果」の実証
2014年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 土畑 重人
社会性昆虫を用いた「公共財ジレンマ」現象の総合的実証
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 関澤 彩眞
チリメンウミウシにおける使い捨てペニスの機能とその補充
(3)動物の行動を研究する新たな方法の開発あるいは既存の方法の改良 沓掛 展之
適応進化の検出を可能にする新しい系統種間比較
2013年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 鈴木 俊貴
(2)動物の行動に関する新たな理論の構築あるいは既存の理論の発展 高橋 佑磨
2012年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 細川 貴弘
2011年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 松浦 健二
2010年度
(1)動物の行動に関する新たな現象の発見 田中 啓太
(2)動物の行動に関する新たな理論の構築あるいは既存の理論の発展 辻 和希
日本動物行動学会日高賞について
日本動物行動学会日高賞は、動物行動学の普及など社会との橋渡しにおける顕著な業績に対して与える賞です。業績は、選考の時点で過去 10 年程度以内に学術誌や一般書、その他マス・メディアなどを通じて公表されたものなどを重視し、受賞候補者は、本学会員による他薦のみとしています。
日本動物行動学会日高賞 受賞者(敬称略)
2024年度
- 受賞者なし
2023年度
- 受賞者なし
2022年度
- 中田 兼介
2021年度
- 海野 和男
2020年度
- 上田 恵介
2019年度
- 受賞者なし
2018年度
- 受賞者なし
2017年度
- 受賞者なし
2016年度
- 宮竹 貴久
2015年度
- 受賞者なし
2014年度
- 受賞者なし
2013年度
- 長谷川 英祐
2012年度
- 長谷川 眞理子
2011年度
- 岡ノ谷 一夫
2010年度
- 受賞者なし
日本動物行動学会振興奨励賞について
日本動物行動学会振興奨励賞は、多様な地域や分野の⼈々との交流や協働を促進することで本学会の活性化に貢献した顕著な活動に対し、本学会員ないしグループに与えられる賞です。振興奨励賞の受賞候補者は、本会会長または運営委員により推薦され、受賞者は運営委員会により選考・決定されます。
日本動物行動学会振興奨励賞 受賞者(敬称略)
2024年度
動物行動学に関するオンライン講演会の4年間にわたる運営
- 西海 望
- 小長谷 達郎
- 松田 直樹
- 左倉 和喜
- 谷本 昌志
- 田中 智弘
- 谷山 克也
- 太田 菜央
2023年度
受賞者なし
2022年度
Journal of Ethologyに掲載された動物行動に関する論文の宣伝ビデオクリップ制作
- 越智 咲穂
- 前田 玉青
- リングホーファー 萌奈美
- 伊藤 真
- 一方井 祐子
- 西條 未来
- 太田 菜央