日本動物行動学会は1982年に、日高敏隆京都大学理学部教授(当時)を初代会長として設立されました。ノーベル賞を受賞したローレンツやティンバーゲンが発展させたエソロジーの伝統を踏まえつつ、行動生態学、生理学、動物社会学、心理学、遺伝学、進化学、数理生物学など、動物の行動に関するあらゆる分野に開かれた学会です。対象となる「動物」も、虫、鳥、魚や、ヒトを含む哺乳類はもちろんのこと、パソコンにすむ人工生命まで含まれます。学会大会を年1回開催しています。工夫をこらしたポスター発表を中心に、口頭発表、ビデオ発表、ラウンドテーブル、シンポジウムなどで、活発な討論が繰り広げられています。学会誌(英文学術雑誌)として、『Journal of Ethology』を年3回発行しています。この学会誌は2000年からはSpringer-Verlag社から出版されることになりましたが、編集はこれまで通り学会の編集委員会が行ないます。このほか、会員への通信として『Mailnews』を随時発行しています。世界のトップレベルの研究を推進していますが、若い会員が多く、動物の行動に興味のある方なら誰でも楽しめる、格式張らない学会です。
学会誌 Journal of Ethology では
エディターズチョイス論文の紹介ビデオを作っています。
News
- 行動生物学研究会 第54回オンライン講演会 「植物の季節適応戦略」
日本動物行動学会の皆様
行動生物学研究会の西海と申します。
11月の講演についてご案内差し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。—行動生物学研究会 第54回オンライン講演会—
日時:2025年11月13日(木) 16:00-17:00
演者:佐竹 暁子(九州大学大学院理学研究院・教授)
「植物の季節適応戦略」
場所:zoomによるオンライン配信(質問可)
研究交流会:20:00-21:00
参加費:無料講演要旨:
有性生殖を行う生物では、受精は新しい生命個体の始まりです。受粉・交尾後に速やかに受精がなされる種がいる一方で、受精まで長い時間をかける種が多岐にわたる分類群で報告されています。森林生態系の中核をなすブナ科樹木はその典型であり、受粉から受精まで1年も遅延することが知られています。どうしてこのような長い遅延が進化したのでしょうか?本講演では、数百種を対象にしたデータ収集から進化モデルの分析、大学院生と進めている花粉管伸長や胚珠発達の観察、雌花トランスクリプトームによって明らかとなってきた研究成果を紹介し、受精遅延が果実形成にどのように関与しているのか、そしてこの現象が冬を乗り越えるための繁殖戦略として機能している可能性について議論したいと思います。参加方法:以下の登録フォームから登録を行ってください。
https://forms.gle/tYDd4AKFtMgNpFex9
※一度登録すれば、以後の講演会の案内も届く設定です。お問い合わせ先:
・参加登録やzoom接続に関して
E-mail : behavioral.biology.official@gmail.com・運営に関して
西海 望 (にしうみ のぞみ)
行動生物学研究会代表
〒950-2102 新潟県新潟市西区五十嵐2の町8050
新潟大学 創生学部/大学院自然科学研究科
Tel: 025-262-7684
E-mail : nishiumi@create.niigata-u.ac.jp
: n.oz.o@hotmail.co.jp・公式サイト
https://sites.google.com/view/behavioral-biology/home - 琉球大学理学部の公募について
琉球大学理学部では教員(助教)の公募を行う運びとなりました。
詳細情報:https://jrecin.jst.go.jp/seek/SeekJorDetail?id=D125101508
職名:助教(任期なし、年俸制Ⅱ) 1名
専門分野:海洋生物生産学(水圏生産科学または水圏生命科学)
応募資格:
1) 博士の学位を有する者または採用までに取得見込みの者。
2) 水圏生産科学または水圏生命科学を専門とし、着任後は沖縄の地域性を活かしながら、広く俯瞰した視点を持って当該分野に関する教育・研究を推進できること。
3) 大学運営、社会連携に意欲的であること。
4) 採用後は、科学研究費助成事業を含む外部資金に代表として応募すること。
応募締切:2025年12月12日 必着
お問合せ:jreimer(at)cs.u-ryukyu.ac.jp(琉球大学理学部海洋自然科学科生物系) - 行動生物学研究会 第53回オンライン講演会 「シイタケ害虫防除研究から菌類をめぐる生物間相互作用を考える」
日本動物行動学会の皆様
行動生物学研究会の西海と申します。
10月の講演についてご案内差し上げます。
皆様のご参加をお待ちしております。—行動生物学研究会 第53回オンライン講演会—
日時:2025年10月27日(月)16:00~17:00
演者:向井裕美(森林総合研究所関西支所・主任研究員)
「シイタケ害虫防除研究から菌類をめぐる生物間相互作用を考える」
場所:zoomによるオンライン配信(質問可)
研究交流会:17:30-18:30
参加費:無料講演要旨:
菌類は,森林生態系において重要な役割を果たしており,多くの生物と複雑な関係を築いていると考えられています。しかし,土壌や朽木のなかで秘かに進行する菌類特有の生活史は,野外での安定した観察や実験的アプローチを困難にするため,菌類の詳しい生態や他の生物とのつながりについては十分に解明されていません。私たちは,近年,シイタケ栽培現場における害虫防除研究に取り組む過程で,シイタケ害虫の天敵となる寄生バチを発見し,シイタケが害虫や天敵寄生バチとの相互作用のなかで化学的・物理的環境を巧みに利用している可能性を示してきました。本講演では,シイタケ栽培現場での詳細な観察から明らかになった菌類と昆虫の興味深い共生関係を紹介し,生態系における菌類と周囲の生物との相互作用について考察します。また,それらの知見を防除に活かした最新の取り組みについても紹介します。参加方法:登録フォームから登録を行ってください。
※一度登録すれば、以後の講演会の案内も届く設定です。お問い合わせ先:
・参加登録やzoom接続に関して
E-mail : behavioral.biology.official@gmail.com・運営に関して
西海 望 (にしうみ のぞみ)
行動生物学研究会代表
〒950-2102 新潟県新潟市西区五十嵐2の町8050
新潟大学 創生学部/大学院自然科学研究科
Tel: 025-262-7684
E-mail : nishiumi@create.niigata-u.ac.jp
: n.oz.o@hotmail.co.jp以上
- 【研究助成】長尾自然環境財団「2025年度 アジア・大洋州の自然環境研究助成」のご案内
長尾自然環境財団の「日本人研究者支援事業(通称:J-プロ)」は、アジア・大洋州地域の開発途上国において、自然環境の保全および保護などに関する調査研究を実施する日本人研究者ならびに大学院博士後期課程に在学する日本人学生に対し、その研究活動を支援することを目的とするものです。
具体的な助成対象は、申請者とアジア・太平洋地域の開発途上国に所属する共同研究者が現地において実施する、野外調査を主とする研究活動です。
なお、申請者が大学院生の場合には、指導教員が同行し、現地調査を共に実施することも可能です。
・応募締切:2025年11月25日(火)午後5時(必着)
・助成金額:
・応募資格A(一般研究者):上限200万円
・応募資格B(博士後期課程の大学院生):上限150万円
(A・Bいずれも、現地共同研究者の国内旅費や主指導教員の渡航費などは別申請可)
・助成期間:2年以内
・詳細:対象国や詳細な募集要項等は、当財団ウェブサイトをご覧ください。
https://www.nagaofoundation.or.jp/research/jpro.html・お問い合わせ:
公益財団法人 長尾自然環境財団
日本人研究者支援事業(J-プロ)研究助成プログラム事務局
Email:jpro@nagaofoundation.or.jp皆様のご応募をお待ちしております。
- 日本動物行動学会 2025年若手研究員海外渡航支援報告
大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程3年の奈良崎泉です。私は飼育ハシビロコウの行動が季節や環境によってどう変化するかについて研究を行っています。今回は日本動物行動学会の若手研究員海外渡航支援費に採用していただき、2025年8月4日から8日にかけて、オランダ・ユトレヒト大学にて開催されたISAE (International Society for Applied Ethology)で発表を行ったので、報告させていただきます。

ISAE2025のパネル
ISAEはコンパニオンアニマル、家畜、実験動物、動物園の動物を主な対象とし、行動や福祉に関す研究発表や議論が行われる学会です。私は「日本の飼育ハシビロコウにおける飼育環境の変化が行動に与える影響」についてポスター発表を行いました。学会全体では、家畜の動物福祉や認知に関する発表が多く、動物園動物を対象とした発表は少数でした。ハシビロコウは国際的に認知度が低いため、質疑応答では生態や飼育状況など基礎的な質問が多く寄せられました。この経験から、認知度の低い動物を対象とする発表では、まず基礎情報を聴衆に提供することの重要性を再認識しました。
今回の参加を通じて、日本と欧米における動物福祉の考え方の違いを深く学びました。日本では哺乳類を対象とした研究が多い中、ISAEでは魚や昆虫の福祉に関する発表もあり、非常に興味深かったです。また、ヨーロッパでは家畜が広大な放牧場で飼育され、動物園の展示場も非常に広いことに感銘を受けました。平坦な土地が多いヨーロッパと山が多い日本では、飼育方法に違いが表れるのは当然のことであり、その土地に合わせた工夫によって動物福祉を実現していく必要があると実感しました。
今後は、今回の学会で得た知見を活かし、日本における動物福祉の発展に貢献していきたいと考えています。
最後になりますが、ご支援くださいました日本動物行動学会の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
- 行動生物学研究会 第54回オンライン講演会 「植物の季節適応戦略」
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