日本動物行動学会は1982年に、日高敏隆京都大学理学部教授(当時)を初代会長として設立されました。ノーベル賞を受賞したローレンツやティンバーゲンが発展させたエソロジーの伝統を踏まえつつ、行動生態学、生理学、動物社会学、心理学、遺伝学、進化学、数理生物学など、動物の行動に関するあらゆる分野に開かれた学会です。対象となる「動物」も、虫、鳥、魚や、ヒトを含む哺乳類はもちろんのこと、パソコンにすむ人工生命まで含まれます。学会大会を年1回開催しています。工夫をこらしたポスター発表を中心に、口頭発表、ビデオ発表、ラウンドテーブル、シンポジウムなどで、活発な討論が繰り広げられています。学会誌(英文学術雑誌)として、『Journal of Ethology』を年3回発行しています。この学会誌は2000年からはSpringer-Verlag社から出版されることになりましたが、編集はこれまで通り学会の編集委員会が行ないます。このほか、会員への通信として『Mailnews』を随時発行しています。世界のトップレベルの研究を推進していますが、若い会員が多く、動物の行動に興味のある方なら誰でも楽しめる、格式張らない学会です。


学会誌 Journal of Ethology では
エディターズチョイス論文の紹介ビデオを作っています。

ナレーション:音読さん(ondoku3.com
ナレーション:音読さん(ondoku3.com

News

  • 行動生物学研究会  第53回オンライン講演会 「シイタケ害虫防除研究から菌類をめぐる生物間相互作用を考える」

    日本動物行動学会の皆様

    行動生物学研究会の西海と申します。
    10月の講演についてご案内差し上げます。
    皆様のご参加をお待ちしております。

    —行動生物学研究会 第53回オンライン講演会—
    日時:2025年10月27日(月)16:00~17:00 
    演者:向井裕美(森林総合研究所関西支所・主任研究員)
    「シイタケ害虫防除研究から菌類をめぐる生物間相互作用を考える」
    場所:zoomによるオンライン配信(質問可)
    研究交流会:17:30-18:30
    参加費:無料

    講演要旨:
    菌類は,森林生態系において重要な役割を果たしており,多くの生物と複雑な関係を築いていると考えられています。しかし,土壌や朽木のなかで秘かに進行する菌類特有の生活史は,野外での安定した観察や実験的アプローチを困難にするため,菌類の詳しい生態や他の生物とのつながりについては十分に解明されていません。私たちは,近年,シイタケ栽培現場における害虫防除研究に取り組む過程で,シイタケ害虫の天敵となる寄生バチを発見し,シイタケが害虫や天敵寄生バチとの相互作用のなかで化学的・物理的環境を巧みに利用している可能性を示してきました。本講演では,シイタケ栽培現場での詳細な観察から明らかになった菌類と昆虫の興味深い共生関係を紹介し,生態系における菌類と周囲の生物との相互作用について考察します。また,それらの知見を防除に活かした最新の取り組みについても紹介します。

    参加方法:登録フォームから登録を行ってください。
    ※一度登録すれば、以後の講演会の案内も届く設定です。

    お問い合わせ先:
    ・参加登録やzoom接続に関して
    E-mail : behavioral.biology.official@gmail.com

    ・運営に関して
    西海 望 (にしうみ のぞみ)
    行動生物学研究会代表
    〒950-2102 新潟県新潟市西区五十嵐2の町8050
    新潟大学 創生学部/大学院自然科学研究科
    Tel: 025-262-7684
    E-mail : nishiumi@create.niigata-u.ac.jp
    : n.oz.o@hotmail.co.jp

    公式サイト

    以上

  • 【研究助成】長尾自然環境財団「2025年度 アジア・大洋州の自然環境研究助成」のご案内

    長尾自然環境財団の「日本人研究者支援事業(通称:J-プロ)」は、アジア・大洋州地域の開発途上国において、自然環境の保全および保護などに関する調査研究を実施する日本人研究者ならびに大学院博士後期課程に在学する日本人学生に対し、その研究活動を支援することを目的とするものです。

    具体的な助成対象は、申請者とアジア・太平洋地域の開発途上国に所属する共同研究者が現地において実施する、野外調査を主とする研究活動です。

    なお、申請者が大学院生の場合には、指導教員が同行し、現地調査を共に実施することも可能です。

    ・応募締切:2025年11月25日(火)午後5時(必着)
    ・助成金額:
      ・応募資格A(一般研究者):上限200万円 
      ・応募資格B(博士後期課程の大学院生):上限150万円 
       (A・Bいずれも、現地共同研究者の国内旅費や主指導教員の渡航費などは別申請可)
    ・助成期間:2年以内
    ・詳細:対象国や詳細な募集要項等は、当財団ウェブサイトをご覧ください。
    https://www.nagaofoundation.or.jp/research/jpro.html

    ・お問い合わせ:
      公益財団法人 長尾自然環境財団 
      日本人研究者支援事業(J-プロ)研究助成プログラム事務局
      Email:jpro@nagaofoundation.or.jp

    皆様のご応募をお待ちしております。

  • 日本動物行動学会 2025年若手研究員海外渡航支援報告

    大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程3年の奈良崎泉です。私は飼育ハシビロコウの行動が季節や環境によってどう変化するかについて研究を行っています。今回は日本動物行動学会の若手研究員海外渡航支援費に採用していただき、2025年8月4日から8日にかけて、オランダ・ユトレヒト大学にて開催されたISAE (International Society for Applied Ethology)で発表を行ったので、報告させていただきます。

    ISAE2025のパネル

    ISAEはコンパニオンアニマル、家畜、実験動物、動物園の動物を主な対象とし、行動や福祉に関す研究発表や議論が行われる学会です。私は「日本の飼育ハシビロコウにおける飼育環境の変化が行動に与える影響」についてポスター発表を行いました。学会全体では、家畜の動物福祉や認知に関する発表が多く、動物園動物を対象とした発表は少数でした。ハシビロコウは国際的に認知度が低いため、質疑応答では生態や飼育状況など基礎的な質問が多く寄せられました。この経験から、認知度の低い動物を対象とする発表では、まず基礎情報を聴衆に提供することの重要性を再認識しました。

    今回の参加を通じて、日本と欧米における動物福祉の考え方の違いを深く学びました。日本では哺乳類を対象とした研究が多い中、ISAEでは魚や昆虫の福祉に関する発表もあり、非常に興味深かったです。また、ヨーロッパでは家畜が広大な放牧場で飼育され、動物園の展示場も非常に広いことに感銘を受けました。平坦な土地が多いヨーロッパと山が多い日本では、飼育方法に違いが表れるのは当然のことであり、その土地に合わせた工夫によって動物福祉を実現していく必要があると実感しました。

    今後は、今回の学会で得た知見を活かし、日本における動物福祉の発展に貢献していきたいと考えています。

    最後になりますが、ご支援くださいました日本動物行動学会の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

  • 動物意識の大阪国際会議(Animal Consciousness Conference in Osaka)開催のお知らせ

    幸田正典・安房田智司(大阪公立大学)

    *プログラム等の詳細はPDFファイルをご覧ください。

    【日程】
    10月21日(火) 10時〜18時30分
    10月22日(水)  9時〜18時

    【会場】
    大阪公立大学 杉本キャンパス 学術情報センター10F 大会議室(150席)
    オンラインも用意します。

    【懇親会】
    10月21日(火) 18時30分〜20時30分
    大阪公立大学 杉本キャンパス「メタセコイア」
    一般5000円 / 学生2500円

    【参加申込フォーム】
    https://x.gd/MGdwB
    本国際会議は無料でご参加いただけます。
    動物の意識/認知/知性に関するポスター発表を募集しています(先着15題)
    参加・発表申し込み締め切り:10月6日(月)

    【注意点】
    宿泊が必要な方はご自身で予約をお願いします。
    10月22日(水)のみの参加は不可となります。
    オンライン参加を希望された方には、後日リンクを送付します。
    ポスター発表は先着順で15題までです。
    ポスターは英語発表、 A0サイズ、動物の意識・認知・知性に関する内容でお願いします。
    10月21日(火)の9:45までに貼り付けをお願いします。
    ポスター貼り付けのピン等はこちらで用意します。
    懇親会の会費は当日会場でお支払いください。

    【問い合わせ】
    小林大雅 labroides7dimidiatus13@gmail.com

    We are pleased to announce that the Animal Consciousness Conference will be held on Oct 21 and 22 2025 at Osaka Metropolitan University. Researchers from Japan and abroad will be invited to give presentations and engage in discussions on animal consciousness, cognition, and intelligence. We are now accepting applications for poster presenters and participants. Poster presentations are limited to the first 15 applicants. Participants who require accommodation are kindly asked to arrange their own reservations. The deadline for conference registration and presentation applications is Oct 6.

    会議の目的
    近年、動物福祉やAI研究の分野において「意識」は重要な議題となっていますが、「意識」は広範な学問分野で未解決の大問題です。その理由の一つに「意識」の定義すら分野間や研究者間で異なるという現状があり、これが議論の著しい混乱を引き起こしています。そこで、大阪国際会議では国内外の動物意識に関する第一線の哲学者・行動生態学者・認知科学者・神経生理学者らを招き、「意識」と「認知・知性」と呼ばれるものの関係性を整理することで、様々な動物における「意識」の定義や研究方法、その起源や進化について議論し、最終的には「意識」の定義に関するコンセンサスをとることを目標としています。本会議は専門分野を横断して「意識の定義に迫る」という点で、世界的にも画期的な国際会議となることが期待されます。

  • 行動生物学研究会 第52回オンライン講演会 「右利き・左利きを形作る『遺伝』と『経験』」

    日本動物行動学会の皆様

    行動生物学研究会の西海と申します。
    9月の講演についてご案内差し上げます。
    皆様のご参加をお待ちしております。

    —行動生物学研究会 第52回オンライン講演会—
    日時:2025年9月22日(月)16:00~17:00 
    演者:竹内勇一(北海道大学理学部・准教授)
    「右利き・左利きを形作る『遺伝』と『経験』」
    場所:zoomによるオンライン配信(質問可)
    研究交流会:19:30-20:30
    参加費:無料

    講演要旨:
    右利きと左利き。私たちヒトは、よく使う手が決まっています。このような体の片側をよく使う現象は、魚類から哺乳類だけでなく、頭足類や節足動物など、非常に幅広い分類群で見られます。私は利きのメカニズムを明らかにする対象として、アフリカのタンガニイカ湖に生息する鱗食魚(Perissodus microlepis)に焦点を当てて研究を進めてきました。鱗食魚は明確な利きを持ち、いつも驚きと感動を私に与えてくれます。今回は、利きを形作る「遺伝」と「経験」の影響について、最新の研究成果を交えて紹介します。

    参加方法:以下の登録フォームから登録を行ってください。
    https://forms.gle/tYDd4AKFtMgNpFex9
    ※一度登録すれば、以後の講演会の案内も届く設定です。

    お問い合わせ先:
    ・参加登録やzoom接続に関して
    E-mail : behavioral.biology.official@gmail.com

    ・運営に関して
    西海 望 (にしうみ のぞみ)
    行動生物学研究会代表
    〒950-2102 新潟県新潟市西区五十嵐2の町8050
    新潟大学 創生学部/大学院自然科学研究科
    Tel: 025-262-7684
    E-mail : nishiumi@create.niigata-u.ac.jp
    : n.oz.o@hotmail.co.jp

    ・公式サイト
    https://sites.google.com/view/behavioral-biology/