日本動物行動学会は1982年に、日高敏隆京都大学理学部教授(当時)を初代会長として設立されました。ノーベル賞を受賞したローレンツやティンバーゲンが発展させたエソロジーの伝統を踏まえつつ、行動生態学、生理学、動物社会学、心理学、遺伝学、進化学、数理生物学など、動物の行動に関するあらゆる分野に開かれた学会です。対象となる「動物」も、虫、鳥、魚や、ヒトを含む哺乳類はもちろんのこと、パソコンにすむ人工生命まで含まれます。学会大会を年1回開催しています。工夫をこらしたポスター発表を中心に、口頭発表、ビデオ発表、ラウンドテーブル、シンポジウムなどで、活発な討論が繰り広げられています。学会誌(英文学術雑誌)として、『Journal of Ethology』を年3回発行しています。この学会誌は2000年からはSpringer-Verlag社から出版されることになりましたが、編集はこれまで通り学会の編集委員会が行ないます。このほか、会員への通信として『Mailnews』を随時発行しています。世界のトップレベルの研究を推進していますが、若い会員が多く、動物の行動に興味のある方なら誰でも楽しめる、格式張らない学会です。


学会誌 Journal of Ethology では
エディターズチョイス論文の紹介ビデオを作っています。

ナレーション:音読さん(ondoku3.com
ナレーション:音読さん(ondoku3.com

News

  • 2025年度 日本動物行動学会賞ならびに日本動物行動学会日高賞公募に関する公示

    2025年 4月 15日
    日本動物行動学会 会長 中田兼介

     日本動物行動学会賞は、現在の動物行動学分野における顕著な業績を、研究実施者のキャリアを問わず表彰することにより、動物行動学の一層の活性化を図ることを目的に設けられました。賞の対象は、研究者個人の全業績ではなく、1つの内容と見なせる良くまとまった3編までの論文からなる業績が対象です。対象業績は、原則過去5年以内に学術誌などに公表されたものとしますが、出産、育児、介護、病気休職、研究職ではない職への従事などの理由により、研究中断期間があった場合は原則の例外として取り扱うことがあります。この扱いを希望される場合、推薦理由書の中で理由を添えて説明してください(例外とするかどうかは審査委員会の判断に委ねられます)。
     対象区分は、(1)動物の行動に関する新たな現象の発見、(2)動物の行動に関する新たな理論の構築あるいは既存の理論の発展、(3)動物の行動を研究する新たな方法の開発あるいは既存の方法の改良、の3区分です。なお、区分(1)には、比較法(種間比較)でデータ解析をして結論を導いた業績も含まれます。

     日本動物行動学会日高賞は、動物行動学の普及など社会との橋渡しにおける顕著な業績を表彰するものです。業績は、選考の時点で過去10年程度以内に学術誌や一般書、その他マス・メディアなどを通じて公表されたものなどを重視します。日高賞は、本学会の初代会長でもある故日高敏隆氏が動物行動学の発展に果たした役割を記念して名付けられました。
     両賞についての日本動物行動学会学会賞細則(2023年10月31日改訂)および過去の受賞者については、当学会のウェブサイトをご覧ください。

     つきましては、2025年度の日本動物行動学会賞ならびに日本動物行動学会日高賞の候補者推薦を以下のように受け付けます。日本動物行動学会員のみなさまに積極的な推薦を呼びかけるものです。日本動物行動学会では、過去に受賞されなかった方の再応募も受け付けております。関連ある新規の論文の追加や、応募書類の改訂を行い、積極的な再応募をお願いします。なお、日本動物行動学会賞の推薦は自薦・他薦のいずれでもかまいませんが、日本動物行動学会日高賞の推薦は他薦に限ります。

    推薦締め切り 2025年6月15日
    受賞者決定 2025年8月下旬
    授賞式 第44回日本動物行動学会大会にて 2025年11月22日(土)~24日(月)

    推薦に必要な書類は以下の通りです。
    (1)推薦理由書(指定書式:日本動物行動学会賞 日本動物行動学会日高賞
    (2)自薦の場合は応募者、他薦の場合は被推薦者の履歴書(様式自由)
    (3-1)日本動物行動学会賞:受賞対象となる業績(3編以内)の別刷など業績内容を確認できるもの。なお、業績の中に連名のものが含まれるときは、応募についてあらかじめ共著者の了解を得てください。
    (3-2)日本動物行動学会日高賞:審査対象となる業績は必ずしも有形のものとは限りませんが、書籍等の有形のものが審査対象に含まれる場合には各1部提出してください。
    (4)被推薦者が推薦されることを承諾していることを示す書類(他薦の場合のみ)
     推薦に必要な書類を、電子メールあるいは郵送で日本動物行動学会事務局(下記)までご提出ください。郵送の場合は当日消印有効とします。

    推薦書類提出先:電子メール:office.of.jet(AT)gmail.com
    〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138
     大阪公立大学 大学院理学研究科 動物社会学研究室
     日本動物行動学会事務局 安房田智司

    <参考 日本動物行動学会学会賞細則 抜粋(応募関連項目のみ)>
    第2条
    1. 日本動物行動学会賞は、以下の各項目のいずれかにおける顕著な業績に対して、日本 動物行動学会会員(以下、本学会員)に与える。業績は、選考の時点で原則として過去5年以内に学術誌などに公表されたものとするが、研究中断期間があり、理由を添えて申し出があった場合、業績対象期間の原則の例外として取り扱うことができる。
    (1)動物の行動に関する新たな現象の発見、(2)動物の行動に関する新たな理論の構築 あるいは既存の理論の発展、(3)動物の行動を研究する新たな方法の開発あるいは既存の方法の改良
    2. 日本動物行動学会日高賞は、動物行動学の普及など社会との橋渡しにおける顕著な業績に対して、本学会員に与える。業績は、選考の時点で過去10年程度以内に学術誌や一般書、その他マス・メディアなどを通じて公表されたものなどを重視する。

    第3条
    1. 日本動物行動学会賞の受賞者は、第2条第1項の各項目について、原則として毎年1名以内とする。
    2. 日本動物行動学日高賞の受賞者は、原則として毎年1名以内とする。
    第4条 学会賞ならびに日高賞の受賞候補者は、本学会員により推薦された者の中から、日本動物行動学会賞選考委員会(以下、選考委員会)が選考する。学会賞の推薦は自薦または他薦のいずれでもよい。日高賞の推薦は他薦に限る。推薦は定められた資料の提出をもってなされるものとし、推薦者は選考委員会の求めに応じて必要な資料を提出しなければならない。

    第5条 選考委員会は5名の選考委員で構成される。選考委員は、本学会員より運営委員会が指名し、任期は2年とし、再任を妨げない。選考委員会の委員長は委員の互選により選出する。

    第6条 選考委員会は、被推薦者の中から受賞候補者を定め、選考理由を付して運営委員 会に報告する。受賞候補者がない場合も理由を付して運営委員会に報告する。受賞候補者の決定は選考委員の合議によるが、十分に議論したにも関わらず選考委員の意見が分かれた際には、選考委員の過半数の賛成により受賞候補者を決定する。

    第7条 選考委員が被推薦者となった場合、あるいは応募業績の共著者となっていることが明らかとなった場合、選考委員から外れるものとする。また、選考委員は、学会賞ならびに日高賞について推薦を行うことができない。

    第8条 受賞候補者は、運営委員会の承認により受賞者として決定される。

    第9条 授賞式は、原則として本学会大会にて行われるものとする。

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  • 2025年若手研究員海外渡航支援費の募集について

    2025年4月6日
    日本動物行動学会 会長 中田兼介

    【支援目的】
    動物行動学分野で活躍している若手の研究者に対し、海外で開催される国際学会・会議に参加するための渡航費・参加費の一部を助成することで若手研究者の経済的負担の軽減を図る。日本の動物行動学の成果を国際的に周知するとともに、若手研究者の海外での研究者ネットワークづくりを支援することで、将来動物行動学と日本動物行動学会の発展に資する研究者を育成することを目指す。

    【支援対象者】
    日本動物行動学会の会員(海外在住の会員も対象)であり、学会参加時に博士後期課程在学中の院生、もしくは博士号取得者で常勤職(テニュアトラックを含む)に就いていない者とする。特に研究費(競争的資金)が少なく、支援の必要な研究者を優先して支援する。

    【対象となる国際学会】
    対象学会は特に指定しないが、行動学・行動生態学関連のInternational Ethological Congress (Behaviour)、もしくは、International Society for Behavioral Ecology Congress (ISBE)への参加予定者を優先する。また、発表数の多い大規模な大会への参加者を優先する。2025年は、国際学会の会期が2025年4月1日〜11月30日について支援する。なお、2026年は1月までに応募を開始し、国際学会の会期が2026年1月1日〜11月30日の学会参加を支援する予定である。

    【支援金額】
    一人あたり上限30万円(航空券代、宿泊費、学会参加費、ビザの申請費用、海外旅行保険)を支給する。原則として年間2人を支援する。

    【支援者の義務】
    渡航後に、航空券等の半券(もしくは搭乗証明書)と領収書、宿泊・参加費・ビザの申請・海外旅行保険の領収書の写し、学会で発表したことがわかる講演要旨の表紙と渡航者の名前がわかるプログラムページの写しを提出すること。学会終了後に領収書の提出を持って、支援金額を支援者の口座に振り込む(領収書がない場合は支給不可)。また大会記を兼ねた報告書を提出すること。報告書はMailNewsと学会HPで公開する。

    【申込書類(様式自由)】
    履歴書(学歴、職歴、研究歴含む)、参加予定の学会と前回の参加人数(わかれば)、大会HP、開催日時と場所、発表タイトル、日本動物行動学会の会員歴、日本行動学会大会での発表歴(発表者名、発表タイトル、発表日時、ただし、共同発表者による発表の場合は除く)、過去3年間の競争的資金の有無(不採択の申請歴も含む。日本学術振興会への応募歴も含む。)

    【申込〆切】
    2025年5月7日

    【申込先】
    日本動物行動学会事務局あて電子ファイルで申し込んでください。
    office.of.jet[at]gmail.com

    【選考結果】
    運営委員会での選考が終わり次第、結果をメールでお知らせします。

    応募要項PDF版

  • 「未来の学術振興構想」の改訂に向けた「学術の中長期研究戦略」の公募等について

    日本学術会議から以下のお知らせがありましたので転載します。

    日本学術会議 科学者委員会 学術研究振興分科会では、2023年9月に策定した提言「未来の学術振興構想(2023年版)」の改訂に向けた「学術の中長期研究戦略」の公募等を開始いたしました。
    公募期間は、2025年4月1日(火)~10月1日(水)までとなっております。
    公募等の詳細については、下記の日本学術会議HPの公募要領等を御参照ください。

    広く科学者コミュニティからの積極的な応募を期待しております。どうぞよろしくお願い申し上げます。

    ○日本学術会議
     https://www.scj.go.jp/
    ○提言「未来の学術振興構想(2023年版)」(令和5年(2025年)9月25日日本学術会議)
     https://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/kohyo-25-t353-3.html
    ○公募等について
     https://www.scj.go.jp/ja/member/iinkai/kenkyukeikaku/26koubo.html
     ※2025年4月24日(木)16時から、公募等説明会(オンライン)を開催予定です。

    (本件に関するお問い合わせ先)
    日本学術会議事務局 審議第二担当(課題別)
    https://forms.office.com/r/WNpFL7WT6F

  • 【NIBB動物行動学研究会】 新年度講演会のご案内と、研究会名の変更のお知らせ

    動物行動学会員の皆様

    NIBB動物行動学研究会の西海です。

    2025年度の講演に関して、ご案内差し上げます。

    今年度は動物行動学分野ではあまり扱われていなかった「植物」や「人」を対象とした研究にも目を向けて、広く行動学を扱っていきたいと思っております。

    この方針のもと、今年度も第一線で活躍されている研究者以下12名の方々にご講演していただきます(講演順、敬称略)。

    前野ウルド浩太郎( 国際農林水産業研究センター 主任研究員)
    上川内あづさ(名古屋大学  大学院理学研究科 教授)
    井原泰雄(東京大学大学院理学系研究科 准教授)
    松浦健二(京都大学大学院農学研究科・教授)
    藤井進也(慶應義塾大学環境情報学部・准教授)
    竹内勇一(北海道大学理学部 准教授)
    向井裕美(森林総合研究所・主任研究員)
    佐竹暁子 (九州大学大学院理学研究院 教授)
    岩田容子(東京大学大気海洋研究所 准教授)
    岡ノ谷一夫(帝京大学 先端総合研究機構 教授)
    稲見昌彦(東京大学 教授)
    阿形清和(基礎生物学研究所 前所長)

    仔細は以下のリンクからご覧くださいませ。https://sites.google.com/view/behavioral-biology/seminar

    また、今年度から研究会名を「行動生物学研究会」という新名称に変更することもお伝えさせていただきます。
    運営代表がNIBB外へ異動すること、そして従来の動物行動学の範疇を越え広く行動学を扱うという趣旨、これらに合わせた改名となります。
    是非皆様、今年度もよろしくお願いいたします。

    行動生物学研究会(前 NIBB動物行動学研究会)代表 西海望

    今月の講演は以下の通りです。

    —第47回オンライン講演会—
    日時:2025年4月14日(月)16:00~17:00 
    演者:前野ウルド浩太郎(国際農林水産業研究センター・主任研究員)
    「サハラ砂漠で生きる昆虫の適応戦略」

    場所:zoomによるオンライン配信(質問可)
    研究交流会:20:00-21:00
    参加費:無料

    参加方法:以下の登録フォームから登録を行ってください。
    https://forms.gle/tYDd4AKFtMgNpFex9
    ※一度登録すれば、以後の講演会の案内も届く設定です。

    講演要旨:灼熱の太陽に乾いた大地、そして乏しい食料。サハラ砂漠は、生物にとって地球上で最も過酷な環境の一つ。しかし、そんな厳しい環境でも多くの昆虫たちが生きている。彼らはどのように困難を克服しているのか。本セミナーでは、サバクトビバッタを中心に、ゴミムシダマシやサハラ銀アリなど昆虫の砂漠環境に対する適応戦略を、行動生態学的な視点から紹介する。

    お問い合わせ先:
    ・参加登録やzoom接続関連
    E-mail : behavioral.biology.official@gmail.com

    ・運営関連
    西海 望 (にしうみ のぞみ)
    行動生物学研究会代表

    〒950-2102 新潟県新潟市西区五十嵐2の町8050
    新潟大学 創生学部/大学院自然科学研究科
    Tel: 025-262-7684
    E-mail : nishiumi@create.niigata-u.ac.jp
              : n.oz.o@hotmail.co.jp

    ・公式サイト
    https://sites.google.com/view/behavioral-biology/home

  • 共同研究グループ「フィールドワークとハラスメント」の報告書について

    共同研究グループ「フィールドワークとハラスメント(HiF)」では、フィールドワーカーが安全にフィールドワークを実施できるよう、活動を行っておられます。日本動物行動学会会員の皆様におかれましても、フィールドワークは日常的に行われていることかと思います。以下の報告書はまだ第一報で、選択式の回答比率やそれらの相関関係しか掲載されていませんが、参考になるかと思います。

    「フィールドワークと性暴力・セクシュアルハラスメントに関する実態調査アンケート」の報告書<第一報>