日本動物行動学会 2025年若手研究員海外渡航支援報告

大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程3年の奈良崎泉です。私は飼育ハシビロコウの行動が季節や環境によってどう変化するかについて研究を行っています。今回は日本動物行動学会の若手研究員海外渡航支援費に採用していただき、2025年8月4日から8日にかけて、オランダ・ユトレヒト大学にて開催されたISAE (International Society for Applied Ethology)で発表を行ったので、報告させていただきます。

ISAE2025のパネル

ISAEはコンパニオンアニマル、家畜、実験動物、動物園の動物を主な対象とし、行動や福祉に関す研究発表や議論が行われる学会です。私は「日本の飼育ハシビロコウにおける飼育環境の変化が行動に与える影響」についてポスター発表を行いました。学会全体では、家畜の動物福祉や認知に関する発表が多く、動物園動物を対象とした発表は少数でした。ハシビロコウは国際的に認知度が低いため、質疑応答では生態や飼育状況など基礎的な質問が多く寄せられました。この経験から、認知度の低い動物を対象とする発表では、まず基礎情報を聴衆に提供することの重要性を再認識しました。

今回の参加を通じて、日本と欧米における動物福祉の考え方の違いを深く学びました。日本では哺乳類を対象とした研究が多い中、ISAEでは魚や昆虫の福祉に関する発表もあり、非常に興味深かったです。また、ヨーロッパでは家畜が広大な放牧場で飼育され、動物園の展示場も非常に広いことに感銘を受けました。平坦な土地が多いヨーロッパと山が多い日本では、飼育方法に違いが表れるのは当然のことであり、その土地に合わせた工夫によって動物福祉を実現していく必要があると実感しました。

今後は、今回の学会で得た知見を活かし、日本における動物福祉の発展に貢献していきたいと考えています。

最後になりますが、ご支援くださいました日本動物行動学会の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。